NEWS

  1. TOP
  2. NEWS
  3. 知の拠点あいち重点研究プロジェクト(I期)」の成果を活用して、かおりを可視化する『かおりカメラ』を開発しました~名古屋機械要素技術展に出展します~

2018/04/05

知の拠点あいち重点研究プロジェクト(I期)」の成果を活用して、かおりを可視化する『かおりカメラ』を開発しました~名古屋機械要素技術展に出展します~

お知らせ

 愛知県では、大学等の研究シーズを活用して新技術の開発・実用化や新産業の創出を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト※1」を実施しています。
 この度、平成23年度から平成27年度まで実施したI期の研究成果で、滝川(たきかわ)修(おさむ)氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構戦略推進部調査役)と澤田(さわだ)和明(かずあき)教授(豊橋技術科学大学)が開発した「半導体イメージセンサ※2」を活用して、県内外の企業4社(東朋テクノロジー株式会社、株式会社アロマビット、浜松ホトニクス株式会社、日本ケミコン株式会社)が設立したコンソーシアムである「CMOS Odor Sensor Consortium(COSCo(コスコ))※3」が “かおり”を可視化する技術を開発しました。半導体イメージセンサ上に特殊な検出膜を塗布することで、“かおり”が吸着することによる電気信号の変化をとらえる技術の開発に成功し、かおりをパターン化して記録・表示できる『かおりカメラ』の実現に至りました。COSCoは、半導体イメージセンサの成果普及を目指す(一社)豊橋センサ協議会の呼びかけにより結成されたコンソーシアムです。
 また、COSCoでは、『かおりカメラ』を4月11日から13日までポートメッセなごやで開催される「第3回名古屋機械要素技術展※4」に出展します。
 今後は、本技術を「i-Sniffer(intelligent Sniffer)」(愛称:アイ スニッファ)として技術を発展させ、 “かおり”に関する新たな産業分野をリードすべく、医療産業、自動車産業、食品産業等での実用化を目指します。

かおりカメラ

かおりカメラ
(提供:日本ケミコン株式会社)

1.開発の背景

 近年、食品業界における新製品開発や、医療業界における病気の早期診断のため、味やかおりを可視化する技術のニーズが高まっています。
 これまで味に関してはその情報を可視化する装置が開発されてきましたが、“かおり”に関しては、その情報の多さ(味は6種類に対し,かおりは200種類以上)により開発が困難でした。
 今回、「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(I期)」で開発された半導体イメージセンサを用いて、“かおり”を可視化するセンサ(かおりイメージセンサ)を開発し、かおりをパターン化して表示できる『かおりカメラ』を実現しました。

2.開発の概要

(1) 本技術の概要
 本技術は、これまで豊橋技術科学大学澤田研究室が開発してきたイオンイメージセンサ上に様々な種類のガス分子を吸着する検出膜をアレイ状に配置することで、どのような“かおり”が漂ってきたか瞬時に画像情報として検出しパターン化して表示・記録できるセンサ(かおりイメージセンサ)技術です。
 半導体イメージセンサが持つ65,536(256ピクセル×256ピクセル)のマス目が個別に微小な電位の変化を感知することができるため、そのマス目上にガス分子が吸着すると電気信号が変化する検出膜を配置することで、複数のガス種を同時に検出することが可能となり、従来技術では困難であった複雑な“かおり”成分を手軽に、また詳細にかつ高感度で検出することができます。
 また、“かおり”は複数のガス種が複雑に絡み合って作り出されることから、「かおりカメラ」は単なるガス検出器とは異なり、複数のガス種の組み合わせを同時にパターンとして認識し、かおりとして記録したものを表示する(図1)もので、“かおり”を目で見て直感的にイメージできるツールです。

図1
かおりをパターン化して表示する例

(2) 本技術の優位性
 『かおりイメージセンサ』(図2)は半導体技術によって製作されているため信頼性が高く、低コストで生産できるため普及しやすいのが特徴です。また、より小さく、より軽く、そして微細化することが可能であり、かつ高感度に“かおり”を検知することができます。スマートフォン、タブレットや各種ウエアラブル等の端末に柔軟に適応できるため、アプリケーションに応じた“かおり”情報をデータとして蓄積することもでき、新たな市場を拓くことが期待されます。
 なお、検出膜及びかおり情報提供サービスは株式会社アロマビットが担当します。

図2
かおりイメージセンサ(提供:浜松ホトニクス株式会社)

<かおりイメージセンサの仕様>
画素:ピッチ 30μm
有効画素数:256×256ピクセル
チップサイズ:7.68×7.68mm
センササイズ:19.05×19.05mm

(3) 試作事例

かおりカメラ及びかおりを測定・
パターン化して表示したイメージ

<かおりカメラ仕様>
概要:かおりをパターン化して表示・記録できる装置
装置サイズ:ハンディタイプ(幅200×奥行50×高さ135 mm)
重さ:500g
測定結果転送方法:スマホ HUAWEI Nova Lite へ Bluetooth通信
動作電源:リチウムイオン電池 Panasonic NCR18650GAx1本,USBポートにて充電
センサ:ISFET型 256×256ピクセル

i-Sniffer

図3
i-sniffer

<i-Sniffer仕様>
概要:「かおりイメージセンサ」に特殊な膜を塗布し駆動させるエンジン
センサ:ISFET型 256×256ピクセル
装置サイズ:デジタル基板(幅80×奥行80×高さ1.6 mm)、アナログ基板(幅140×奥行80×高さ1.6 mm)
重さ:100g
センサ取り付け:52pin LCC(Leadless Chip Carrier)使用
計測方法:センサ上9分割し、内5ブロックの測定データを転送

3.期待される成果と今後の展開

 「かおりカメラ」により“かおり”の情報を可視化することで、日本酒やワイン、コーヒーなどの“かおり”を重要視する嗜好品や、食品、洗剤、シャンプーなどの日用品を販売する際に、かおりを表示することが可能となり、新しいビジネスとして活用されることが期待されます。
 また、かおりを検知するセンサ及びモジュール、ソフトウェアの開発を進め、医療分野での呼気による健康診断技術、食品分野の衛生管理技術、自動車等の車内のにおい検出技術、金属類の腐食や割れの非破壊検査診断技術から、小型化によるポータブルタイプの簡便な口臭チェッカー等への応用が可能になります。

4.社会・県内産業・県民への貢献

社会への貢献:かおりに着目した新しい検査技術・装置が開発される。
県内産業への貢献:食品、日用品の販売時にかおりの情報を掲載することが可能になる。
県民への貢献:かおりに関する情報を知ることができ、好みに合ったものを購入することができる。

5.第3回名古屋機械要素技術展

(1)会期:平成30年4月11日(水曜日)から13日(金曜日)まで
(2)会場:ポートメッセなごや(名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地)第2展示館 小間番号25-10
(3)主催:リード エグジビジョン ジャパン株式会社
(4)出展者:CMOS Odor Sensor Consortium

6.知の拠点あいち重点研究プロジェクトに関する問合せ先

あいち産業科学技術総合センター
「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」成果活用プラザ 担当:安部、金山、牧
 〒470-0356 愛知県豊田市八草町秋合1267-1
 電話:0561-76-8306 AX:0561-76-8309 

本開発内容に関する問合せ先

(半導体イメージセンサ関連)
 豊橋技術科学大学
 (1)担  当:電気・電子情報工学系 教授 澤田(さわだ) 和明(かずあき)
 (2)所 在 地:豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1の1
 (3)電  話:0532-44-6739
 (4)F A X:0532-44-6739

(コンソーシアム関連)
 一般社団法人豊橋センサ協議会
 (1)担  当:代表理事 冨田(とみた) 充(みつる)
 (2)所 在 地:豊橋市天伯町雲雀ケ丘1-1 豊橋技術科学大学内
 (3)電  話:0532-44-6739
 (4)F A X:0532-44-6739

(「かおりカメラ」開発プロジェクト関連)
 東朋テクノロジー株式会社
 (1)担  当:副社長 早川(はやかわ) 登(のぼる)
 (2)所 在 地:愛知県稲沢市下津下町東5丁目1番地
 (3)電  話:0587-24-1210
 (4)F A X:0587-24-1224

(かおりカメラ関連及び検出膜関連)
 株式会社アロマビット
 (1)担  当:取締役 最高技術責任者 橋詰(はしづめ) 賢一(けんいち)
 (2)所 在 地:東京都中央区銀座7-13-6 サガミビル2階
 (3)電  話:03-4455-4609
 (4)F A X:03-6434-5799

(かおりイメージセンサ関連)
 浜松ホトニクス株式会社
 (1)担  当:固体事業部 固体開発部 部長 水野(みずの) 誠一郎(せいいちろう)
 (2)所 在 地:静岡県浜松市東区市野町1126の1
 (3)電  話:053-434-3311(代表)
 (4)F A X:053-434-5184

(電子部品関連)
 日本ケミコン株式会社
 (1)担  当:営業推進部 機能材料グループ 早川(はやかわ) 浩達(ひろみち)
 (2)所 在 地:東京都品川区大崎5丁目6番4号
 (3)電  話:03-5436-7627
 (4)F A X:03-5436-7498

用語説明

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト
 高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。平成23年度から平成27年度まで「重点研究プロジェクト(I期)」を実施し、平成28年度からは「重点研究プロジェクト(II期)」及びI期の成果普及等を実施している。
<重点研究プロジェクトI期)のテーマ>
 1.低環境負荷型次世代ナノ・マイクロ加工技術の開発プロジェクト
 2.食の安心・安全技術開発プロジェクト
 3.超早期診断技術開発プロジェクト

※2 半導体イメージセンサ
 センシング部表面近傍の電位変化を電気信号に変換してリアルタイムに読み出すデバイス。デバイス中に素子を縦横に高密度に多数配置することでセンシングエリア(約5mm×5mm)における電位の変化をイメージングすることを可能としている。

※3 CMOS Odor Sensor Consortium(COSCo(コスコ))
 CMOS技術により開発した「かおりイメージセンサ」を用いてかおりをパターン化して表示可能な技術を開発する6機関(豊橋科学技術大学、株式会社アロマビット、東朋テクノロジー株式会社、日本ケミコン株式会社、浜松ホトニクス株式会社、(一社)豊橋センサ協議会)によるコンソーシアム。

※4 第3回名古屋機械要素技術展
(1)内容:軸受、ベアリング、ねじ、ばねなどの機械部品や、金属、樹脂に関する加工技術の専門展示会
(2)会期:平成30年4月11日(水曜日)から13日(金曜日)まで
(3)会場:ポートメッセなごや(名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地)
(4)主催:リード エグジビジョン ジャパン株式会社

プレスリリース原稿
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/acist/p3-kaoricamera.html

SHARE